【バイスタンダーと救護義務者の違い】
バイスタンダーとは、「たまたまその場に居合わせた人」を意味します。
一般的な消防などで行われる救命講習は、主に救命処置の普及啓発を目的に行われており、例外を除き責任を問われることはありません。
それに対し、保育を仕事とする者(保育施設職員、幼稚園教諭はじめ、ベビーシッター)や教育施設職員などについては、安全配慮義務のもと事故防止に努めながら子供の事故に備える必要がある【対応義務者/救護義務者】と位置付けられています。
何か事故があった際は、行った処置や行わなかった処置について責任追及されてしまう立場ということです。
しかし、実際の保育施設では救命講習を受講されていなかったり、講習を受講していても適切な対応がとれず、訴訟されているケースは後を絶ちません。
注意義務には説明責任も伴い、事故が起きた場合は、いつ、どのようにして事故が起きて、当事者はどのように判断したのか?
そしてどのような対応、処置を行ったのか?その介入によってどのように変化し、今の子供のどのような状態なのか?などを経時的に報告をすることになります。
事故報告書をご確認いただければ一目瞭然かと思います。
実際、パニックになって119番要請するまでにかなり時間を要しているケースも散見されます。
また、救急要請をして救急車が到着するまでの時間は、日本の全国平均10分を超えましたが、その間にとるべき処置がきちんと行われたのか?についても問われています。
裁判の際はガイドラインをもとに判決が下されることが多いのですが、そのガイドラインでは、
子どもに接する機会の多い職種(保育士、幼稚園・学校教諭)や養育者(親など世話をする人たち)についても、胸骨圧迫とともにできるだけ人工呼吸を含む心肺蘇生を習得することが推奨されています。
そうなんです。
実は日本のガイドラインでは、医療者と同じ小児の特性を踏まえた人工呼吸を含めた小児蘇生法(PBLS)を学ぶことが推奨されています。
有事の際は、練習していてもなかなかスムーズに対応できないものです。
だから何度も訓練する必要があります。
これはハッキリと言えることですが、練習・訓練していなければ、確実にその場では動けません。
【保育園での事故事例と対策】
自分のご施設でお子さんが亡くなるような事故が起き、自分が当事者になるとは誰もが予想していないことだと思います。
しかし、全国で毎年のようにお同じような死亡事故が起きているのは事実です。
今まで起きていないから大丈夫だろうと安心するのではなく、自分が所属する園や学校、職場で明日起きてもおかしくないことなんだ。
そんなスタンスで最悪の事態に備えておくことはとても重要です。
過去の事故事例を知り、もしここで同じ様な事態に遭遇したら?
そんな視点でご確認いただき、職場の皆さまと事前に対策をとっておくことはとても重要となります。
大阪市たんぽぽの国保育事故報告書(大阪市)
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000364024.html
以下は弊会でまとめた資料となりますので、全文は実際の報告書をご覧ください。
【成人蘇生と小児蘇生の違い】
小児に関しては、呼吸原性心停止がほとんどです。
呼吸器系が未熟である点、人工呼吸が必要な点などについては、共通する事前学習でお伝えした通りです。
当日は小児蘇生について以下の事に触れますが、余力がある方は事前に考えてみておいて下さい。
・なぜ成人の場合は胸骨圧迫と人工呼吸の比率が30:2であるのに対し、小児の場合は15:2の場合があるのか?
・いつも15:2ではなく、「2人法の場合は」と条件がある理由について。
・2人の場合は、だれであっても15:2で良いのか?
・小児の心肺蘇生の開始基準について。
・救助者が1人しかいない場合の通報のタイミングについて。
保育を仕事とされている方は業務中に予期せぬことに遭遇する機会が多いかもしれません。
しかし、職業人人生の1つとして学ぶことも必要ですが、今後、自分の大切な家族、お子様やお孫様、パートナーが、いつどうなるかはわかりません。
そういった意味では、救命に関する知識や技術は持っていて損はないと思っております。